同居人の突発的な上京に付き合わされた正太郎君、またしても殺人事件に巻き込まれます。
もっとも彼にとっては、殺人事件より猫が殺されたことのほうが、重大事件だったのですが・・・。
いつもどおり、同居人と正太郎君のかけあいも面白く、登場人物たちもそれぞれに魅力的で、楽しく読むことができました。

でも、それだけではない、「時が経てば、それですべてがチャラになる。それでいいのだと思う。それだから、明日も明後日も、みんななんとか生きてゆかれるのだ。」という正太郎君の言葉が、私の心に響きました。
同居人に対して、そして人に対しての正太郎君のやさしい思い、それがあるからこそふたりの面白いかけあいも生きてくるのだと思います。
そしてそれは、作者柴田よしきさんの、優しいメッセージでもあるのでしょう。

殺人事件の顛末に追われ、状況の目的を忘れて滋賀に帰ることになった同居人、まずはめでたしめでたしということでしょう。???